死亡率0.5%の上乗せについて

この記事は『やっかいな放射線と向き合って暮らしていくための基礎知識』(rbb20120913.pdf)を読んで、手を動かした記録であって、何かを主張するようなものではありません。

まずp83(4.6 確率的におきる出来事についての考え方)には

赤玉が50 個だったとしても、赤を引いた人数が多めで58 人
だったり、少なめで43 人だったり、いろいろと変わる。大ざっぱに言って、
プラスマイナス10 人くらいの「ばらつき」があるほうが普通なのだ。

と書かれています。「ふーん」と流すこともできますが、せっかくなので手を動かしてみました。
問題設定としては、それぞれ独立に50/200の確率で赤を、それ以外は白を引くということだから、「ゆがんだコイン」の問題と同じです。N個のコインを投げて、表になる確率をpとする。表になるコインの数の期待値はNpで、コインの枚数の2乗の期待値は(N^{2}-N)p^{2}+Np。だから分散の二乗はp(1-p)Nになる。今、p=50/200, N = 200とすると分散は\sqrt{150}/2 = 6.123\ldotsになります。期待値50のあたりを分散の分だけプラスマイナスに値が前後するのでだいたい43人から57人程度ということになります。
次に

たとえば、数万人の
人が同じ「癌の運命のクジ引き」をしたとすると、「赤玉が50 個」の場合と
「赤玉51 個」の場合を区別できるようになる。

について。数万人で区別が付くということなので、思い切って10万人(10^{5})で計算してみます。50人の場合、期待値2.5\times 10^{4}、分散135.1。51人の場合、2.55 \times 10^{4}、分散136.9。50人の場合がいくら多めなったとしても、51人のめいいっぱい少なめに出た場合より小さくなります。いい加減な検証ですが、確かに10万人ともなると、0.5%の上乗せが目に見えてくるということです(例えば1000人程度だとどうなるでしょうか。確かめてみてください)。