証明アシスト機能

作図ツールの試作をしてます。設計の詳細は次のページで見ることができます。
http://w.livedoor.jp/compass-ruler/d/cal.js
今回も作図問題の自動判定で、問題も其ノ伍と同じです。新しく"LINE-SEGMENT", "ANGLE"という操作を加えました。これは、合同な角、線分同士を同じ色で示してくれる機能で、証明をアシストしてくれます。作図だけならhttp://goo.gl/oH1lQ で遊べます。

デモ動画

アシストなし

アシストあり

動画中の問題の転載

点\(M\)は線分\(BC\)上にあるとするとき、\(\overleftrightarrow{BC} \perp \overleftrightarrow{AM}\)となるような点\(A\)を作図せよ。

角の和

作図ツールの試作をしてます。設計の詳細は次のページで見ることができます。
http://w.livedoor.jp/compass-ruler/d/cal.js
今回も作図問題の自動判定です。新しく"ANGLE-ADD"という操作を加えました。これは2つの等しいと分かっている角の対があって、さらに対同士になっていない角が隣接角にあるとき、その角の和が等しいことを判定機に教える操作です。作図だけならhttp://goo.gl/oH1lQ で遊べます。

デモ動画

動画中の問題の転載

点\(M\)は線分\(BC\)上にあるとするとき、\(\overleftrightarrow{BC} \perp \overleftrightarrow{AM}\)となるような点\(A\)を作図せよ。

自動作図判定機の試作

中学生のときにコンパスとものさしを使った作図問題をちょろっとやったことがあると思います。こういった問題の採点をプログラムでやってしまおうというものを作っています。線分、角の合同関係、平行判定などはユーザーのした操作からプログラムが推論します。ユーザーは3つの三角形の合同関係(SSS, SAS, ASA)をつかってプログラムにヒントを出し、自分の作図したものが正しいことを教えます。

デモ動画

デモ動画中の問題の転載

線分\(BC\)上に点\(M\)をとったとき、\(\overleftrightarrow{BC} \perp \overleftrightarrow{AM}\)となるような点\(A\)を作図せよ。

コンパスとものさしの幾何学

コンパスとものさしの幾何学」というwikiを開設しました。このwikiで使っている図は、Javascriptで作ったプログラム(cal.jsといまのところ呼んでいます)で生成しています。

頷きでやってくる情報量は1ビット

「頷きでやってくる情報は1ビットだから、話がなかなか進まない。」『数学ガール ガロア理論』 p160より
頷きでやってくる情報ってなんでしょうね。ちょっと調べてみましたよ。

この文章について


情報とは、何か不確定な事を、それを知ることによって確定するものを言う。ここでは、その量である情報量の定義を与える(ビットについても分かるかもしれない)。情報量の定義を与えるために、次の問題から考えよう。

問題1


そこにはぼくとリサがいて、2個の箱\(A_{1},A_{2}\)がある。リサはコインを投げて表なら\(A_{1}\)に、裏なら\(A_{2}\)にコインを入れる。ぼくはどの箱に入れるかを決めるルールについては知っているが、実際に出た目は知らないし、どっちの箱に入れたのかも知らない。ぼくが「コインは\(A_{i}\)にある?」と聞くとリサは「頷く」あるいは「沈黙」で応える。ぼくは何回質問すればコインがどこの箱にあるか分かるだろうか?

答え


このとき不確定な事というのは、「どの箱にコインがあるのか」ということであり、情報とは「ぼくの質問に対するリサの応答」である。問題1の答えは簡単で、ぼくが「\(A_{1}\)にある?」と聞けばリサは「沈黙」あるいは「頷く」のどちらかで応える。沈黙していれば\(A_{2}\)にあることが確実になるし、頷けば\(A_{1}\)にあることが確実になる。従って問題1の答えは1回である。次に箱の数を8個まで増やしてみよう。

問題2


そこにはぼくとリサがいて、8個の箱\(A_{1},A_{2},\ldots A_{8}\)がある。リサは8面ダイスを投げて、出た目が\(i\)なら\(A_{i}\)にコインを入れる。ぼくはどの箱に入れるかを決めるルールについては知っているが、実際に出た目は知らないし、どの箱に入れたのかも知らない。ぼくが「コインは\(A_{i}\)から\(A_{i+n}\)までの箱にある?」と聞くとリサは「頷く」あるいは「沈黙」で応える。ぼくは何回質問すればコインがどこの箱にあるか分かるだろうか?

答え


まず「\(A_{1}\)から\(A_{4}\)までにある?」と聞く。頷けば1から4の間にあるし、沈黙していれば5から8の間にあることが分かる。同じようにぼくが箱の候補が\(A_{m}\ldots A_{n}\)としたとき「\(A_{m}\)から\((A_{m}+A_{n})/2\)にある?」という質問を繰り返したとしよう。このとき頷けば「1」、沈黙していれば「0」と書くことにすれば

  1. 111ならば\(A_{1}\)にある

  2. 110ならば\(A_{2}\)にある

  3. 101ならば\(A_{3}\)にある

  4. 100ならば\(A_{4}\)にある

  5. 011ならば\(A_{5}\)にある

  6. 010ならば\(A_{6}\)にある

  7. 001ならば\(A_{7}\)にある

  8. 000ならば\(A_{8}\)にある


となり、全ての場合が3回の質問で分かる。

情報量


ここで情報の大きさ、情報量について考えてみよう。問題1と問題2の応答の内容はどの箱にあるかの可能性を1/2にする意味で一緒なので、1回の応答が持っている情報量は同じだと言える。この情報量を1とする単位をビットと言う。すると問題の「コインがどこに箱にあるか?」に対する応答が持つ情報量は1ビットで、問題2については3ビットということになる。情報量が\(n\)のとき、箱の数は\(2^{n}\)になるので、逆に箱の数が\(x\)のとき、箱の位置に関する情報の持つ情報量は\(\log x\)になる。箱の数は等しい確率で起こりうる事象の数に等しいので、\(x\)個の箱\(A_{i}\)にコインがある確率は\(1/x\)である。確率の言葉で情報量を書き直すと
\[\log x = -\log (1/x) = -\log p\]
となる。

情報量の定義


確率\(p\)で起こる事象が実際に起きたという情報が持つ情報量を
\[-\log p\]
で定義する。

参考文献


アインシュタインの関係式

問題設定


室温(300K程度)で水中にビーズ(微粒子)を入れると、ビーズは水分子の衝突により運動し続ける。この運動をブラウン運動と呼ぶ。また1次元的にビーズが動くとき、外力が一様に方向\(-x\)、大きさ\(f\)でかけると、一定の時間が経過すると沈降状態になる。

問題


1次元ブラウン運動からアインシュタインの関係式が成り立つことを示せ。また、外力の無い2次元的な運動をするビーズを使った実験の測定値と関係付けよ。

前提



  • 外力が働かないとき水分子の速度がバラバラならば、モデル1(下の定義参照)で計算した物理量の期待値が実験に一致する

  • ビーズの運動は、+境界条件(この名前は一般的でないので、下の定義を参照)を課せば沈降状態に緩和する

  • 平衡状態ならば、ビーズの数密度は時間依らず一定になる

  • 沈降状態のビーズのハミルトニアンは\(fx\)である

  • 沈降状態は熱平衡状態である

  • 平衡状態では、ビーズの数密度に比例した確率密度で計算した物理量の期待値は、カノニカル分布でした場合に一致する


定義


モデル1


ビーズがどの方向へも等確率に移動する確率モデル。1次元の場合、x方向と-x方向へ移動する確率が等しく、残りの確率で移動しない。(外力が働くときは、\(-x\)方向へより速く移動する効果を取り入れるために、時間あたりにその方向へ移動する確率を高くして調節する)

+境界条件


運動を\(x\ge 0\)に限定する境界条件

アインシュタインの関係式


\(f\neq 0\)、+境界条件なしのときに
\[u = \frac{\langle x(t)\rangle}{t}\]
で定義され、更に\(f=0\)としたときに
\[D = \frac{\langle \{x(t)\}^{2}\rangle}{2t}\]
で定義される\(D,u\)と外力\(f\)、それと温度\(T\)、気体定数\(R\)、アボガドロ数\(N_{A}\)の間の関係式
\[ f\frac{D}{u} = \frac{RT}{N_{A}}\]
アインシュタインの関係式と呼ぶ。

前提から示せる性質



  • モデル1ではビーズの数密度は1次元のとき
    \[ \frac{\partial \rho (t,x)}{\partial t} = u\frac{\partial \rho(t,x)}{\partial x} + D\frac{\partial^{2} \rho(t, x)}{\partial x^{2}}\]
    に従う。

  • 平衡状態のビーズの数密度は、1次元の場合\(\exp(-\frac{D}{u}x)\)に比例する

  • d次元(d=1,2,3)で外力が働かないとき\(\langle \boldsymbol{x}^{2}(t)\rangle = 2dDt\)


解答例

  1. 境界条件で、平衡状態になったときのビーズ1つ当たりのエネルギー\(\epsilon\)を計算すると、アインシュタインの関係式が得られる(\(Z\)は分配関数)。

\[\frac{\int_{0}^{\infty}dx fx \rho(x)}{\int_{0}^{\infty}dx\rho(x)} = \frac{\int_{0}^{\infty}dx fx e^{-\beta H}}{Z}\]
平衡状態ではビーズは停止しているので、ハミルトニアンは\(H = fx\)なので、右辺は\(RT/N_{A}\)に等しい。左辺は\(fD/u\)になる。次に2次元の実験で測定できる\(\langle \boldsymbol{x}^{2}\rangle = \langle x^{2}+y^{2}\rangle\)と\(D\)を関係付けることを考える。1次元のとき、外力なしで
\[ \langle x^{2}(t) \rangle = 2Dt\]
となる。2次元の場合を、1次元で定義した\(D\)を使って書くと
\[ \langle \boldsymbol{x}^{2}(t) \rangle = 4Dt\]
になる。従ってビーズの移動距離の2乗を\(t\)に比例するようにフィットすれば\(D\)を得ることができる。\(N_{A}\)以外の定数も他の実験から決定することができるので、アインシュタインの関係式を使って、1モルあたりの原子数を数えることができる。

SU(2)基本表現の幾何学的解釈

3次元デカルト座標とSU(2)基本表現とを関係付けることで、幾何学的に解釈することができます。

説明


点Pが球面上\((x,y,z)\)にあるとする。このとき点Sを\((0,0,-1)\)とし、原点をOとする。そしてPからxy平面に平行に引いた直線とz軸の交点をQ。またxy平面と直線SPとの交点をP'とする。ここでxy平面を複素平面と見て、点P'の位置を示す複素数を\(\zeta\)とする。直角三角形PQS、P'OSは相似なので
\[\frac{|\vec{PQ}|}{|\vec{QS}|} = \frac{|\vec{P^{\prime}O}|}{|\vec{OS}|}\]
である。\(\rho = \sqrt{x^{2}+y^{2}}\)とすると\(|\vec{OS}| = 1\)なので
\[ \frac{\rho}{1+z} = |\zeta|~~(1)\]
と書ける。\(\vec{OP^{\prime}}\)は\(\vec{QP}\)に平行なので\(\zeta\)は\(x+iy\)に比例する。
\[x + iy = a \zeta\]
比例係数は\(\rho^{2}+z^{2} = 1\)から決まる。
\[
\begin{align*}
&\rho^{2} = (1+z)(1-z)\\
&\rho \frac{\rho}{1+z} = 1-z\\
&a|\zeta|^{2} = 1-z\\
&z = 1 - a|\zeta|^{2}
\end{align*}
\]
zを(1)に代入してaについて解く。
\[
\begin{align*}
&\frac{a|\zeta|}{2-a|\zeta|^{2}} = |\zeta|\\
& a = \frac{2}{1+|\zeta|^{2}}
\end{align*}
\]
aの値を代入して整理すると、
\[x+iy = \frac{2\zeta}{1+|\zeta|^{2}},~~z = \frac{1-|\zeta|^{2}}{1+|\zeta|^{2}}\]
となる。ここで更に\(\boldsymbol{\xi} = (\xi_{1},\xi_{2})\)を\(\zeta = \xi_{2}/\xi_{1}\)として導入すると、これがSU(2)の基本表現になっている。このことはベクトルを回転させたときの、\(\boldsymbol{\xi}\)の変換則から確かめることができる。